2020年7月11日土曜日

AIに負けないために!

まったく話が変わって、

前回の続きです。


以前紹介させていただいた、

「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」

にあまりにも強い衝撃を受け、

AIや読解力についてもうちょっと学びたいなー

なんか良い本ないかなー

と思っていたら、

同じ作者による続編が発売されていました!w

灯台下暗しw


ということで、

新井紀子さん著の 「AIに負けない子どもを育てる」

早速読んでみました。






まず、前回の内容を簡潔にまとめると、、


AIがシンギュラリティを獲得し、

人間を支配することはあり得ないし、

東大に合格することは絶対にない。


けど、

現時点ですでにMARCHレベルに合格できる力がり、

このままいくと確実に仕事を奪われちゃうよ。


そこから逃れるためには、

AIが苦手である「読解力」を身に付けるしかない。


ただし、

現在の研究では読解力の身に付け方はわからない。


とりあえず、がんばれ!


って内容でしたねw




 ~ 以下、ネタバレ含まれます ~


今回は、

前作とは異なり、AIについての記述はほとんどなく、

「読解力」に着目し、議論を進めています。


私なりの要約と私見。


*正しく読むとはどういうことか

まず、正しく読むために必要なスキルはなんでしょうか。

真っ先に挙げられるのが、「識字」です。

そもそも文字がわからなければ読めませんからね。

日本の識字率は、江戸時代の寺子屋の普及により、世界トップ水準です。

でも、「あ」と書かれた線の組み合わせを「あ」と識字できるからと言って、

正しく読めることには直結しませんよね。


では、次に考えられるのは、「語彙」。

文字を読めても、単語の意味がわからなければ、読めませんね。

ということで、語彙も身に付けたとします。

それで十分でしょうか?

いいえ。

作者がいうには、その状態がいわゆるAI読みという状態みたいです。

正しく読むためには、

文脈や行間、背景を知らなければならない。

その前提として、行中を読み取らなければならないと。


そして、その行中を正しく読み取るには、

「機能語」という、

「と」「に」「のとき」「ならば」「だけ」等を

正しく使えるようにならなければならないみたいです。


ここで発達段階についてですが、

もちろん個人差はありますが、一般的には、

小1,2で識字可能になるみたいです。

ところが、

家庭環境や地域により、

語彙量に圧倒的な差が出てしまうみたいです。

ここがひとつのターニングポイント。


続いて、

小3,4で機能語の使い方に差が出るみたいです。

それに伴い、教科書や板書の読み方に決定的な差が出ます。

機能語を正しく用いることができれば、

教科書や解説を正しく読めるため、自学自習ができるが、

用いることができなければ、

教科書をぼんやりとしか読むことができず、

模範解答をみても、採点をすることすらできない。

すると、

真面目な子どもほど暗記に頼るようになるみたいです。

それがやっかい。

低学年のうちは、暗記でもある程度、点数が取れてしまい、

間違った成功体験を得てしまうため、

それに頼り続け、AI読みしかできないまま成長してしまいます。

そうなると、

小テストのような範囲が限られているテストにしか対応できないし、

人間の記憶量には限界があるため、

AIに取って代わられてしまうという、最悪な事態が起きてしまいます。



また、良かれと思って導入されている、

低学年時のプリント学習や、必要以上のドリル学習も、

読解力向上を阻害しているみたいです。

理由は、

括弧抜きを埋める単語学習になってしまい、

文の意味を理解しながら板書しなくなってしまうこと、

板書速度が遅くなってしまうこと。

ドリル学習で完結してしまい、

リアルな場面で活用できなくなってしまうこと。

があげられるみたいです。



*機能語が読めない状態とはどういうことか

問題です。

「誰もが、誰かをねたんでいる」

を受け身の形にするとどうなるでしょうか。


「誰もが、誰かからねたまれている」

になりましたか?


もしくは、

「ある人は、誰かからねたまれている」

「誰かは、誰もからねたまれている」


ちなみに、

これらは、よくある誤答みたいです。


正解は「解なし」です。

ちょっといじわるですが。

私は正解できましたーw


解いていて感じましたし、読み進めていくと書かれていましたが、

高校数学の論理と集合や、

大学数学の写像の考え方がわかれば簡単に解けます。

だいぶ昔に、逆裏対偶とか必要十分条件とかやったでしょ?

このような問題が解けないとAI人材として、

AIを利用する側になることができないみたいです。



*RST(リーディングスキルテスト)体験

RSTの体験をすることができます。

6分野7項目から構成されており、

体験版では、各項目4問の28問で簡易的に診断することができます。

①係り受け解析 ・・・ 文の基本構造を把握する力

②照応解決 ・・・ 指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を把握する力

③同義文判定 ・・・ 2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力

④推論 ・・・ 小学6年生までに学校で習う基本的知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力

⑤イメージ同定 ・・・ 文章を図やグラフと比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力

⑥具体例同定 ・・・ 言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力(辞書と理数に分類)

①~③が基礎で、④~⑥が応用っぽい感じらしいです。


参考として、2題掲載します。

(1)

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

グルコースからできているのは、デンプンと(   )である。

1.セルロース、 2.アミラーゼ、 3.酵素、 4.形


(2)

世界の難民・国内避難民らの数は、2015年末、前年より約580万人増えて、約6530万人に達した。国連難民高等弁務官事務所が統計を取り始めてから最も多く、第二次世界大戦後、最悪の状況だ。このうち、国境を越えた難民は約2130万人で、パレスチナ難民を除くと、最も多いのはシリアの約490万人になる。

上記に書かれたことが正しいとき、以下の文に書かれたことは正しいか。「正しい」、「まちがっている」、これだけからは「判断できない」のうちから答えなさい。

2015年末のデータによれば、国内避難民より、難民のほうが多い。

1.正しい、 2.まちがっている、 3.判断できない



////////////////////

(1)項目①、正当1 (2)項目④、正当2

どうですか?

できました?

ちなみに、各項目の4問はそれぞれ、

易・普・難・超難 の4段階に分かれており、

2問とも ” 難 ” からチョイスさせていただきました。


私の結果はというと、

恥ずかしながら1問間違えてしまいましたが、

正当数27問で自分的にはよっしゃーって感じでした。

自慢のようで気持ちが悪いですが、上位数%の好成績みたいです。


が、

読解力は決して一人で獲得できるものではなく、

生育環境がその力を育んだから、幸運ですねってさ。。

・・・もうちょっと素直にほめてよw

いや、、、おっしゃる通り。

周囲に感謝です。



*RSTの予知能力

RSTとともに実施されたアンケートによると、

正しく読めているのは約3割にも関わらず、

大多数の生徒が「自分は教科書を読めていると思う」

と答えたみたいです。


そりゃそうですよね。

本書に書かれている通り、

大人でさえ自分は正しく読めると勘違いしているくらいですからね。

教員も認識を改めることが大事ですね。

「教科書に書いてあるから読んでおきなさい」は通用しない。


そして、

テスト結果を分析すると、新たな相関関係がわかったということです。

それは、「テストの結果と所属高校の偏差値」です。

すべての項目で相関係数が0.8を超えているので、

数学的にはかなーり強い相関です。


さらに、前作から、

中学高校では学年の変化によるテスト結果の変化は、

ほとんど起こらないことがわかっているため、

中学入学時点でどこの高校に入学可能か予知できてしまうみたいです。

・・・おそろしい。

教科書を正しく読むことができないと、

選択できる進路が狭まってしまうみたいです。



*教科書を読めるようにするために

前回同様、明確な答えはわからないため、

あくまで作者の主観であると前置きがありますが、

ありがたいことに、いくつか手立てが記載されています。


・0歳段階から以下の機会を多く設ける

母語のシャワーを浴びる機会、

インターネットから切り離されたリアルな外部世界と接触する機会、

走り回ったり、同世代の子どもと接触したりする機会


大人の会話から語彙を学ぶみたいです。

そして、やはり、現実世界での実体験が1番の教材ということですね。


・小学校中学年から各科目で答え合わせの仕方を日常的に指導する


答え合わせの仕方って学んだことないもんね。

RST項目③の同義文判定が苦手だと、

模範解答で自己採点できなくなってしまうため、

繰り返し丁寧に教えることが大事みたいです。


・中高の国語の授業で他科の教科書や説明書、契約書などを取り扱う


小説や評論文ばかりではなく、

他科の教科書や、実生活で起こりうる題材を用いて、

横断的に学習するべき。


など。



RSTの結果から、

著者は、中学入学までを特に重視されています。

だから、

幼児期から小学校での具体策はかなり細かく書いてくださっています。


中学入学の準備として、小学校高学年段階での、

・暗記やドリルに頼る

・自己肯定感が低く、諦めやすい

・試行錯誤を怖がり、他の人の作業を見てから作業を始める

・グループ活動で意見を言わない

の場合は注意が必要みたいです。



*大人でも読解力は向上する

前作から言っている通り、

読解力を向上させるための明確な手段はわかっておりません。

ところが、最後に希望を持たせてくれます。

理由はわからないらしいんですが、

RST開発に携わっていたあるメンバーの、

日本語力が飛躍的に向上したらしいです。

自覚は無いらしいですが、

思い出せる限り、振り返ってみると、

「ゆっくりでも正確に意味を理解しよう」と心掛けたみたいです。


他には、

新聞や教科書のような文章を要約することも、

効果があるのではないかと考えられているみたいです。


うん。

特効薬なんてものはなく、

日々の努力の積み重ねが大事ということですね。

結局そーゆーことね。

ラクすんなってねw




いやーおもしろかった!

1日でサクッと読めますよ。


ご存知の通り、

AIはものすごい速度で、

日々我々に迫ってきています。

経済特区の深圳なんてすんごいことになってますもんね。

人が乗れるドローンって。


このようなリアルを知ると、

50代の方は逃げ切れるかもしれませんが、

我々のような、それ未満の世代は、

否が応でもにも向き合わなければならないことでしょう。

顔を背けてたら本当に喰われるからね。


ということで、

ありきたりではありますが、

AIの特性を正しく理解し、

正しく恐れましょう。


そして、

自分の弱点を知り、アップデートすることで、

AIにできないスキルを身に付け、

一緒になんとか乗り切りましょう!


レッツ生涯学習!


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